実写と多様化

なんだか最近撮影案件が続いていて、流石にいい意味でルーティン化してくるというか、撮影前にあまり緊張しなくなってきました笑。ただ、僕は仕事を始めて20年以上です。なぜ今更撮影慣れを自覚するのか、逆に言えば今までしていなかったのかを考えてみたのですが、それは実写に比重を置いてこなかったからだと気づきました。

僕が実写に対して熱を持つようになったのはここ数年で、インスタを始めたのと同時期からです。それ以前の僕の感覚は、実写で何をやってもハリウッドに勝てない、というものでした。勿論それを言うならCGでも勝てないのですが、CGやアニメーションには変化球的な抜け道が結構あるので、勝てはしないまでも負けないような方向性を見つけやすいのです。


これがその時期の作品です。実写パート(人物)は多分1時間くらいで撮り終わっていると思います笑。実写パートはいち素材に過ぎない、という考え方です。この時期はこのように実写がごく僅かに入るか、全く入らないアニメーション作品がほとんどでした。

それがなぜ今は実写大好きになってしまったかというと、世の中にも自分にもパラダイムシフトが起こったからです。実写でもハリウッドに勝てるようになった訳ではありません。そもそもハリウッドに勝つという価値観自体が陳腐化したのです。これは、今多くのミュージシャンが別に紅白を目指していないのと同じです。これはなにもハリウッドや紅白自体の価値が下がった、ということではありせん。つまり、多様化したのです。

多様化の中で輝きを増したのは一人ひとりの日常です。インスタユーザーがあれだけ自撮りをアップしてそれが素敵に見えるのは、賛否両論あれどやはり画期的なことに思えます。
そういう価値観に於いては、遠くまで行かなくても無理せず行ける範囲の場所で、トップスターでなくても会える範囲の人を大切に撮れば最高の映像になるはずです。皆がそういう風に考えると、ソフトやハードの進歩とは別の次元でノウハウやら皆の美意識やらが進化してコンテンツのレベルが上がります。今のインスタやハリウッド以外の映像業界は端的に言ってそういう状況だと僕は思っています。


これは最近作ったPVですが、出演者は皆一般の方です。一般の方で問題ないどころか、タレントを使うと逆にこういう良さは出ないかもしれません。今はそういう価値観が共有されているので、すんなりこういうPVを作ることができます。ただ、5年前もこういう状況だったかといえば、そうでもなかったように思うのです。そしてもちろん、今のほうがいろいろな意味で豊かになっています。